特集
縄文土器から垣間見た人間の本能と、八ヶ岳の自然から感じる情景を作品に投影する陶芸作家、飯山和俊さん。幼いころから惹きつけられてきたという古代のロマンと作品作りについて語っていただきました。
幼いころに体験した感触や空気感が
今の自分の感性を形成している。
幼いころに八ヶ岳山麓の縄文の大地で、裸足で畑の中を駆け巡ったときに体験した感触や空気感などが今の自分の感性を形成しています。当時はあちらこちらの畑で縄文土器のかけらが拾えました。拾った土器片は、お菓子の空箱に綿を敷き詰めて、大切な宝物としてコレクションしていました。
縄文土器は人間が本来持っている、
美しさをあらわす手段。
手の込んだ縄文模様と器の形を見ていると、古代の人たちの暮らしは時間がゆっくりと流れ、心にゆとりがあったからこそできる造形なのではないかと感じられます。縄文土器は人間が本来持っている、本能からくる美しさをあらわす手段だったのではないかと思えるのです。
かつて感じた情景や古代のロマンを
立体作品であらわす。
私も装飾的な作品を好んで作っています。
かつて畑や森の中で感じた情景や古代のロマンを、今現在の自分と向き合わせて立体作品であらわすことは、自分のうちにある本能によって突き動かされている行為なのかと思っています。
陶芸は私の本能を引き立て、
引き出してくれる。
土で作った作品を窯で焼くことによって生まれる偶然性は、陶芸でなければできないものです。私はそれを、陶芸でもなく、彫刻でもなく、工芸でもなく、「土に遊ぶ」と言っています。
私にとって陶芸は、見えないものを立体作品にあらわせる、私の本能を引き立て、引き出してくれる魅力のあるものです。
飯山和俊 / 陶芸作家
茅野出身の陶芸作家。日展会友。1994年に日展に初出品、入選。2002年、日本現代工芸美術展現代工芸賞受賞。子どもの頃に拾った縄文土器に魅せられ、八ヶ岳山麓の自然から感じたものを「土に遊び」表現している。